基礎から学ぶインプラントについて
非常にインプラントの認知度が上がってきたように思います。医療関係の多くの場面で使われており、その需要は止まることを知りません。
以前はインプラント治療を受けられる人が限定されていましたが、現在は技術の進歩により、ほとんどのケースで治療が可能になっています。
その意味では、インプラントに向かない人はほとんどいなくなっているといっても過言ではありません。
歯科医師と十分に相談した上で何を選択するのが自分にとって一番なのかを決めることが大切です。
オツセオインテグレーション成功の六つのポイントチタンは本来身体と親和性を持ち、骨とくっつきやすいという特徴があるにもかかわらず、埋大したインプラントが抜けることもあります。
その理由はいくつかあります。
インプラント体が適正な場所に埋入できていなかったり、埋入する穴をあけるドリル作業に時間がかかりすぎ、骨が熱を持ってしまったなど、施術者の技術が未熟であることが原因で抜けることもあります。
皮質骨にフレンジがしっかり留まったインプラント体。
先端にはセルフタップという刃がついている。
中には、インプラント体が骨に固定できずに失敗することもあります。
チタン製の口腔インプラント体は、ブローネマルク博士が開発したねじ山を切ったタイプが現在でも主流です。
下の部分にスレッドという切れ込みがあり、骨にねじで留めるようになっています。
メーカーによって微妙に形や大きさ、ねじ山など改良を重ね、多種類のタイプが発売されており、インプラント先進国のイタリアでは約一六〇種類余りが、日本でも四〇種類以上のインプラント体が販売されています。
それぞれの会社で特許を取得しており、口腔インプラントの治療費が高いのはこうした特許料が価格に転嫁されていることも要因になっています。
一九八二年、スウェーデンのイエテポリ大学のアルプレクソン教授が、オッセオインテグレーションが長期的にうまくいくためのインプラントの条件を提唱しました。
この考え方は、現在でもインプラント治療の基本となっています。
以上六つの条件が的確であることを、長期にわたるオッセオインテグレーションの条件として挙げています。
第一の生体材料として適切なことについては、チタンを使っているということに尽きます。
過去から現在まで他のどの素材を使っても、生体に密着することはありませんでした。
それを可能にしたチタンという金属の存在を抜きには、オッセオインテグレーシヨンは語れないというわけです。
現在は、純チタン製、チタン・プラズマコーティング、チタンにハイドロオキシアパタイトをコーティングしたものなどが製造されています。
二番目のデザインというのは、インプラント体の形を表しています。
現在、口腔インプラント体としての主流は、下のほうにねじ山が切ってあるスクリュータイプのものですが、ねじ山の深さや形によって生体に馴染みやすいものとそうでないものがあります。
生体に馴染みやすいものを使用したほうが、失敗が少ないのは言うまでもありません。
これ以外にも、インプラント体の中心が空洞になっている筒状のシリンダータイプなどのデザインが開発されており、成功率が上がっています。
三番目のサーフェスコンディションというのは、スクリュー表面の目の粗さを表しています。
インプラント体は純チタンをねじ型に削り出して作ります。
その表面がつるつるしすぎると骨との結合が悪く、また租すぎると、汚染や感染症を起こしやすいという弱点もあります。
もちろんこれらは顕微鏡レベルなので、見た目にはわかりませんが。
インプラント体は機械で適切な租さの表面を持ったねじ型に加工します。
これらの三つの条件は、提供する会社によって違います。
ねじは、インプラント体の上の部分にもついています。
これをフレンジといいます。
これに歯肉を貫通するアバットメントという装置を取り付け、その上に歯を取り付けるという三段階のねじになっています。
フレンジはねじの精度が高いほどゆるみません。
ねじの表面がつるつるしていて、塩入する穴の隙間が限りなくゼロに近いほうがゆるまないのです。
表面がざらざらしていると、面のところに摩擦が起こりうまく入っていきません。
表面がつるつるで摩擦なく入ると、ある程度のところまで来ると、上の部分の金属が伸び上がり反作用が起きるためかえって抜けません。
しかし、表面がざらざらでは長期間振動すると歯やアバットメントがゆるみ、抜けやすくなるのです。
しかし、骨に埋入するねじは、骨にくっつくのを促進するためにあとでフッ素やフッ酸、硫酸などの酸性処理をすることでわずかにねじ山以外の部分の表面を租くするように特殊な加工をすることがあります。
このタイプは、骨の再生を促すことを目的にしています。
特殊加工すると埋入した段階で表面に血液がつくので、チタンの表面のほうから母骨に向かって骨ができます。
同時に母骨のほうからもチタンに向かって骨ができるために、オッセオインテグレーションが完成する期間が従来の半分になるのです。
治療時間を短くするという意味では、表面を租く削ったエッチング加工をしたインプラントのほうが有利だといわれています。
サンドブラスト処理というものもあり、これはアルミ化合物やチタン化合物を表面に吹きつけて加工したものです。
四番目の適切な症例の選択というのは、骨がしっかりあるかどうかということです。
全身的に健康で骨がしっかりしていたほうがインプラント塩入に適していることは疑いようがありません。
しかし、骨が軟らかい、骨租しょう症、歯周病で骨がほとんど吸収されているという条件の悪い患者でも、現在の技術をもってすればオッセオインテグレーションの獲得は可能で、かなり高い成功率を誇るようになっています。
極端な言い方をすれば、全身的なコンディションが良ければ、顎堤がまったく吸収されてしまった患者さんでも、現在はインプラント治療が可能になっています。
これは研究が進んだ成果といえるでしょう。
五番目のサージカルテクニックは、ずばり外科医としての技術力です。
技術が未熟であるとインプラント体の埋人に際しても、適正な場所に正確に塩入することができず、ぐらぐらしていると骨にはくっつきません。
また、インプラント体を埋人前にドリルで穴をあけるドリリングを実施するのですが、うまくあけられずに時間がかかりすぎると穴の部分が熱を持ってきます。
この熱によって骨がダメージを受けるとオッセオインテグレーションの獲得が難しいといわれます。
このようにドリリングが不正確で、インプラント体がゆるいとオッセオインテグレーションは望めません。
六番目の条件は、上部構造(歯の部分)をつけたあとの噛み合わせを問題にしています。
噛んだときに必要以上の加重がかかると、圧力をうまく分散することができずインプラントに過剰な荷重がかかってしまいます。
この場合は、オッセオインテグレーションが壊れることがあります。
四から六までの項目は、歯科医に課せられた治療のノウハウを含んでいます。
技術と用具が揃わなければ、オッセオインテグレーションは獲得できないのです。
異常に安いインプラントは違法コピーの可能性歯を失った際の治療として、インプラント治療が一般的になっているために、一部で価格競争が起こっているのも事実です。
チタン製であればオッセオインテグレーションできる確率が高いので、歯牙欠損部にとりあえずインプラントでも塩入してみようか、という程度の技術しか持たない歯科医師でも治療をスタートしている場合もあります。
インプラントのほうが現代性を感じます。期待できるインプラントです。
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